『DQNの実装石3』
アリサの子育てが始まった。
アリサの1日は忙しい。 昼、仔実装たちの悲鳴のようなひもじい鳴き声でいやいや目を覚ます。 利明の妻である早苗も起き始めるのはその時間だ。
暴れて泣き叫ぶ仔をそのままに、早苗と一緒に遅い朝食を取る。 部屋の中央のちゃぶ台で、二人で向き合って食事を取る。
アリサはちゃぶ台に乗っては、皿の上のハムエッグなどを食い荒らしている。 そのちゃぶ台の下では、母親であるアリサを求めて、仔実装がテチー!! テチー!!と 声を荒げて、ちゃぶ台の足の周りを狂ったように回っていた。
アリサは、ハムエッグをボロボロと口から零しながら食べ終わると、 今度は食事の量が足りないと、癇癪を起こしたように、ちゃぶ台の上で飛び跳ねた。 そして、早苗に向って黄色い歯を剥き出しにして叫ぶ。
「デギャース!! デギャァァ!! デギャァァァァスッ!!」 (量が少ないデスッ!! 私のお腹にはお姫様が一杯デスゥッ!! これっぽっちじゃ足りないデスゥ!!)
手にしたタクワンを早苗に向って投げる。 早苗に化粧のしていないどす黒い顔にタクワンがぶつかるが、早苗は無表情で 黙々と口を動かしては、「思いっきりテレビ」を見ている。
「デギャァァ!! ゥギャアァァァスッッ!!!」 (奴隷ッ!! 聞いてるデスゥ!? おまえ、聾(つんぼ)デスゥ!!?)
早苗はアリサの癇癪には慣れたもので、みのもんたを見ては頬を赤らめクスクスと笑っている。
アリサは仕方がなく、落ちたタクワンをポリポリと食べては、デブゥ…とゲップをする。 そして、気がついたように、両手でお腹を撫でて、
デッデロゲ〜♪ デッデロゲ〜♪
と、早苗の食べ差しのサラダの皿の上に坐っては、胎教の唄を歌った。
「デチチー!チィー!」(ママー!! ママー!! どこテチィーー?) 「テェエエエエエン!」 (お腹すいたテチィーーー!!)
デ?
お腹が満たされたアリサは、可愛い娘たちが鳴いているのに気がつく。
「デッス〜〜ン♪」(ママはここデスゥ〜♪ 泣き止むデスゥ〜♪)
ちゃぶ台の上から、下を覗くアリサ。 いきなり上からママが光臨したように見えて、仔実装たちは一様にテチュ〜ン♪と泣いて喜ぶ。
サラダの皿から降りては、不恰好な様でちゃぶ台から降りるアリサ。 アリサの姿に気がついた仔実装たちは、そのアリサの足に、しがみ付くように飛び跳ねる。
「デッス〜ン♪」(本当におまえ達は可愛いデスゥ♪ 私の全てデスゥ〜♪)
アリサは仔実装たちを抱き上げて、スカートをたくし上げては、赤と緑の乳房を 愛する子供たちのために差し出した。
チュパッ! チュポッ! チュパッ!
「デッ! デデデッ…♪」
レロ…レロレロレロレロッ!!!
「デデン♪」
5匹の仔実装たちは、アリサの2つの乳房を求めて、攻めに攻めた。 喘ぐように涎を垂らし、頬を上気させながら、自らの手を咥えるアリサ。
アリサは、今の幸せを噛み締めていた。仔を成す幸せに打ち震えていた。
子供のあどけない仕草を見る度に、頬が赤らむ。 子供の甘える声を聞くたびに、胸が高鳴る。 乳房を吸われるたびに、母としての喜びに絶叫する。
「デッ〜〜ッッ!! デスデェ〜〜スッ!!」
30分後、赤く腫れた両乳房の周りには、小さな歯型の跡が点在としていた。 デェーデェー と肩で息をしては、涙をすするアリサ。
お腹を満たした仔実装たちは、トロンとした目で、アリサの腕の中で眠りについた。
ボエ〜♪ ボエ〜♪
胎教の唄の次は、子守唄。アリサの1日は、まったく忙しい。
ちゃぶ台では、早苗がほのかに緑色に染まったサラダを黙々と食べている。 アリサはふと目の前の早苗に目を向ける。
そういえば、この雌豚にも仔がいた。 雌豚も昔、糞奴隷を抱いては、ブヒーブヒー鳴いていた。 あれは子守唄にだったに違いない。
手の中で、眠る可愛い子供の鼓動を感じる今、この雌豚の気持ちもわかる。 この雌豚には、きつい仕置きも色々したが、少しは頭でも撫でててやろう。
早苗が冷蔵庫からプリンを取り出して、腹を掻きながら、それを食べ出した。
「………あんたも食べる?」
早苗はちゃぶ台の上に、もう一つのプリンを置いた。
「デ? デスゥゥゥ!! デスデェース!!」
アリサは腕の仔実装を畳の上に放り投げて、両手を挙げて トカゲのおっさんのような踊りをした。
「デスゥ!! デスゥ!!」
一生懸命、ちゃぶ台に足をかけて下着を露にしているアリサの足元では、 テェェン!テェエエン!と泣き叫ぶ仔実装たちが、両手両足をバタつかせていた。
「パパ。この仔たちに名前つけていい?」
その夜、そう提案したのは、長女の姫蘭(きら)だった。 すやすやと眠る仔実装を胸に抱いて、アリサは体を揺らしながら頬擦りをしている。
「名前?んなもん…」
アリサという名前も姫蘭(きら)が決めた。 ほっとけば、きっとこいつは、またメルヘンチックな名前をつけるだろう。
しかし、この仔実装は数週間でペットショップに卸すつもりだった。 だったら、わざわざ情が湧くような真似はする必要はない。
「つける必要ねーよ。面倒臭せぃ」 「やだぁ。つけてやらないとかわいそうだよ」
変な所に固執する姫蘭(きら)。 こんなところは妻の早苗に似たのだろうか。
「パパだって困るでしょ。「おまえ」とか「こいつ」とか…」
確かにこれから躾をするのに、識別子がないと困るのは確かだ。
「んー。そうだな。じゃぁ名前をつけるか…」 「俺もつけるっ! 俺がつけるっ!!」 「私もつけさせてよ!!」
妻の早苗と長男の輝虎(きとら)が今の話を聴いていたのか、話に割り込んでくる。 やいやいの名前の意見を言い合っている3人。面倒くさいので利明は 一人3枚カードに名前を書いて、そこから籤引きのように選んでつけることにした。
決まった仔実装の名前は以下の通り。
雷電/ミスティーク/歌丸/セルシオ/ヒデキ
「おっ。かっこいい名前ばっかじゃねーか」 「ええ。素敵ねぇ」 「アリサ。子供達に名前をつけてやったぜ」 「デ?」
利明はアリサの仔に名前を与えた事を伝えた。
「デスゥゥゥゥ♪ デスゥゥゥ♪」
アリサは眠る仔実装たちを叩き起こしては、デスゥデスゥ♪と 言いながら名を授かった喜びを伝えた。
よくわかっていない仔実装たちであったが母が喜んでいるのをみて 何かしら嬉しかった。
利明はテチテチとアリサの周りではしゃぐ仔実装たちを見ては、卑下な笑みを浮かべる。
この5匹をまず売り払おう。2週間後には、今のお腹の仔が生まれるはずだ。 そしたら、すぐに妊娠させる。そして次の仔たちも売り払えば…
利明は指を折っては、日々日々入る泡銭を想像しては、顔を赤らめて 畳の上で悶えていた。
「よーし。前祝だ。早苗。輝虎。姫蘭。外食しに行くぞ」 「ぇぇえ。マジィ。パパ? ガストかぁ!! ガスト行っていいのぉ!?」 「やったぁぁぁ!! 目玉焼きバーグ食べていい!? 目玉焼きバーグゥ!!」 「デスゥゥゥゥ!! デスゥゥゥゥ!!」 「テチュゥゥゥゥ!! テチュゥゥゥゥ!!」
仔実装は訳も分からず、アリサの周りをぐるぐると回って喜んでいる。 アリサも「ガスト」という単語を聞いては、デプププと頬を赤らめた。
「よし。仔実装たちも連れて行くか」
人間社会を見せるのも、仔実装の情操教育に役に立つだろう。 利明一家は、エスティマに乗り込んでは、ブリーダー独立の前祝いとして エスティマを駆っては、国道沿いのガストへと洒落込んだ。
エスティマの中では、始めての車に仔実装たちは大興奮だった。
テェ!! テチャァァァァァ!!!
ガストについても、動く扉にまず仔実装たちは驚愕した。 どの仔実装も、既にパンツはコンモリさせていた。
いきなり金髪の家族と実装石6匹が店内に入ってきたので店員は驚愕した。 店長に報告を入れては、恐る恐る一番奥の席に案内した。
「パパッ!! ドリンクバー頼んでいい??」
輝虎が咆えるように叫んだ。
「ああ、いいぜ。今日は俺とアリサの前祝いだ。頼め、頼め」
アリサは何度か、利明にガストに連れられて来たことがある。 アリサは慣れたように窓際の席に座って、顔を赤らめていつものように バシンッバシンッとボタンを押した。 仔実装たち5匹は、テーブルの上でアリサの一連の行動を、?な顔で見ている。
「テチ?」(ママ?これは何テチ?)
これはミスティークか。いや歌丸。もう正直どうでもいい。
「デェース! デスデース!!」(これは人間を操るボタンデス。少し待つデス)
しばらくして店員が来ては頭を下げる。
「チュァァァァァ!!!」(ニンゲンが来たテチィ!!)
「おう。まずはビール2つ。ほんで、目玉焼きハンバーグ4つにライスは大盛りな。 大盛りはタダだな、確か。んで、ドリンクバー1つだ」
「えー。私もドリンクバー飲みたーい」
長女の姫蘭(きら)が、利明に向って言う。
「馬鹿。輝虎(きとら)の分があるだろ。回して飲め、回して。 ほんで、こいつらにはスパゲティーでもやってくれ」
「………かしこまりました」
「デプププ」(早くするデス。糞ニンゲン)
「「「「テチュ〜ン♪」」」(ママは凄いテチィーー!!!)
最後に深々と頭を下げる店員。 仔実装たちが、その人間の姿を見ては、それが母であるアリサに向けられた物と 思っては身を震わせた。
「デス!」(さぁ、おまえたちも押して見るデス!)
アリサは仔実装たちに指示をする。
ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪
仔実装たちの怒涛のピンポンダッシュが始まった。
「お客様… 何か御用ですか?」 「あん?呼んでねーよ」
足を机の上に放り出して煙草を吹かしながらスポーツ新聞を読む利明が店員を睨んだ。 その横では、仔実装たちが
「!…テプッ! テプププッ!!」(ほ、ほんとに来たテチ。テププ。本当に言いなりテチィ) 「テプププァ!!」(糞ニンゲン!! ステーキを用意するテチィ!!) 「プギャッ! プギャッ! プギャーーーーーーーッッ!!!」(奴隷テチィ!! 私達にも奴隷が出来たテチィ♪)
ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪
何回も何回もそれを繰り返した。 店員の怪訝そうな顔がなんとも言えず面白く、アリサも仔実装たちに混じっては
「デピャピャピャピャ!!」
と、身重の身で、腹を捩じらせて笑っていた。
そして、料理が訪れる。 アリサはデプゥ〜♪デプゥ〜♪と言いながら、手でスパゲティーを掴んでは 手と口と涎掛けをベトベトにしながら、それを頬張った。
離乳食として、口で十分咀嚼したそれを仔実装たちにも与えた。 仔実装たちは、アリサの乳以外の物を始めて口に含んでは、テチュ〜ン♪と頬を赤らめて 満喫している。
「デスゥ〜♪」(どうデスゥ? 美味しいデスゥ〜♪)
アリサは後ろの席の女性の後ろ髪で、汚れた手を拭きながら仔実装に話しかける。
「テチュ!!」(最高テチィ! この世はママの言うとおり「楽園」テチィ!!)
満足気な顔の仔実装の頭を撫でてやるアリサ。 そのアリサに青い顔をして訴える仔実装がいた。
「テチャァァ!! テッチ!! テッチ!!」(ママァ!! ウンコテチィ!! ウンコテチィ!!)
「デデ!」(デデ! 食事中にいけない仔デス)
アリサはその仔を抱いては、ひょいと通路に出る。
「デスデス」(食卓の上でウンコをしては駄目デス。そこの通路でするデスゥ)
通路で下着を降ろして、排便をしだす仔実装。 食事を終えた輝虎と姫蘭は、奇声を発しながら店内をぐるぐると回っている。
ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪
1匹の仔実装は、隣の家族団らん客に、糞を投げては威嚇を続ける。 もう1匹の仔実装は、レジ前で奇声を発しては、こちらに向って走ってくる。
「テチテチー!!」(玩具テチー!! 玩具テチー!!)
レジ前の玩具売り場を、アリサにせがんではブチブチと取らせて、それで遊びまくる仔実装。
「お。アリサは、早速ママしてるなぁ」
利明は既にジョッキ6杯目に突入している。席に戻ったアリサに一杯注いだ。
「デス」(頂くデス)
身重の体でアルコールを煽るアリサ。
ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪
人間を使役することに快楽を感じた仔実装が、何度も何度も店員を呼ぶ。
「ヂュアア! テッチー!テチテチー!」(糞ニンゲン!遅いテチ!! 一回死ぬテチ!!) 「あん?呼んでねーっつてんだろ!!」
凄む利明。
「あべあべきゅああぁぁえあああ!!!」
奇声を発して、店内を走る回る輝虎と姫蘭。 それを必死に追いかけていた仔実装は、エロエロ〜と胃の中の物を通路にぶちまける。
「テピャァァァァァァァァァァ!!!!!」
こちらでは興味本位で酒を舐めた仔実装が、天に向って絶叫をしている。
「チャァァァ!!」(ママ!! ウンコ!! ウンコテチィ!!)
「デスデスー」(ほら、そこでするデスゥ)
ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪
「呼んでねーっつてんだろ!!」
・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・
「あんた。大丈夫なの。こんなに飲んで」 「ははは。平気だ平気! 前祝だからな、これくらいやんねーと」
千鳥足でふらつく利明を早苗は必死に支える。 その足元では、アリサもウゲェェェ!!ウゲェェェ!!と店内にゲロを吐いている。 仔実装たちも、はしゃぎすげてヘロヘロで、半分は気絶していた。
利明は、OMCカードの分割払いでその場の料金を払い、家族をつれてエスティマに 乗り込んだ。
車中、街燈の光で後部座席で眠る輝虎と姫蘭の姿を目にやった。 利明は、この一家の大黒柱である。
この可愛い子達のためにも、何としてもこの商売は成功させねばならないのだ。 自然にハンドルに力が篭った。
姫蘭の膝の上で、白目を向いてデェェェ…と呻いているアリサに目をやる。
「(頼むぜ… アリサ)」
エスティマのテールランプは、赤い線を描いては、暗闇の中に消えた。
(続く)