『実装石物語』
 
麻呂は実装石の虐待派でおじゃる。
今日も暇なので、実装石の虐待をするでおじゃる。
麻呂はTシャツに着替えて、火避け地に出かけたでおじゃる。
おお。おるわ。おるわ。糞蟲が一杯でおじゃる。
糞蟲はデスデスと本当に五月蝿いでおじゃる。
麻呂は、自慢のモデルガンを取り出し、糞蟲を駆除し始めたでおじゃる。
「痛とうござりまするデス。痛とうございまするデス」
糞蟲は、モデルガンの痛みに耐え切れず、麻呂に許しを請うて来たでおじゃる。
「許さないでおじゃる」
麻呂はさらに糞蟲の眉間に、実弾を集中させたでおじゃる。
「デスゥゥ!!痛いでござりまするデス!!デスゥゥ!!」
麻呂はうっとりと頬を赤らめて、糞蟲を駆除し続けたでおじゃる。
江戸は今日も平和でおじゃる。江戸は今日も平和でおじゃる。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「という話なんだが、どうだろうか」
「うむ・・微妙だな」
ここは都内のある喫茶店。
一人の男は、手に持つ原稿用紙を見ながら、額から汗を流している。
「麻呂はいい。これは斬新だ。しかし、TシャツにモデルガンはNGだ」
「お前もそう思うか。しかし、俺は敢えてTシャツを選んだのだ」
しかし、男は納得しない模様だ。
懐から赤いペンを取り出し、添削を始めた。
「ここは、もう一つ先を狙おう。麻呂と実装石をチェンジだ」
「な、なにぃ!」
男は添削を終えた原稿用紙に目を通す。
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実装石は麻呂の虐待派でおじゃる。
今日も暇なので、麻呂の虐待をするでおじゃる。
実装石はTシャツに着替えて、火避け地に出かけたでおじゃる。
おお。おるわ。おるわ。麻呂が一杯でおじゃる。
麻呂はデスデスと本当に五月蝿いでおじゃる。
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「むぅ・・」
男は添削された原稿を見つめては、唸った。
「麻呂に謝れっ!!」
「む、むぅ・・!!」
この男たち。
後にベストセラー「麻呂の実装石」(1000万部)を売り出す
有名作家「綾小路☆ヒカル」であった。この頃は、まだ編集部に
持ち込みをしては、駄目出しを喰らう毎日。
彼らは、実装文学で一山当てようと日夜、実装小説に精を出していた。
めがねの男が、「」村。
角刈りの男が、「」野。
「なぁ。「」野。俺は思うんだが、実際に実装石を飼ってみたらどうだ」
「な、何を言っている!「」村。俺が実装アレルギーというのを知っているだろう」
「しかし、実体験もなしに、実装小説など書けるものでもあるまい」
「何を言っている。巷に溢れる恋愛小説など、すべて妄想の産物ぞ。
 実装小説ぐらい、実体験がなくとも、俺の妄想力があれば鬼に金棒ぞ」
力説する「」野。
しかし、彼らの創作意欲は窮しているのは確かだった。
結局、「」村に説得される「」野。
実装石を飼うことになった。
大丸の最上階の高級ペットショップに寄る「」村と「」野。
「デスー! デスデスー!」
「テチィ?」
「テチュー!テチュテチュー!」
ペットショップの実装石たちは、さすがに身なりもよく綺麗なべべを着ている。
リボンをつけ、店を訪れる客たちに可愛らしく媚びている
「む・・・可愛いではないか!」
興奮する「」村。
「痒いっ!痒いっ!痒いっ!」
実装アレルギーの「」野は、体中に蕁麻疹を出しては、悲鳴をあげている。
「お。この仔が可愛いなぁ」
「」村は、頬を赤らめて、水槽に張っている値段を見た。
「12万8千円!」
「」村が住んでいるアパートの家賃3ヶ月分であった。
「きぃぃぃいぃぃ!!」
奇声をあげる「」村。
「「」村!限界だ!早く出よう!」
二人は思った。これでは虐待されているのは、我々の方ではないか!!

公園でメッコールを煽りながら、たそがれる二人。
「「」野・・・」
「なんだ?」
「俺・・・国に帰ろうと思うんだ」
「なに?」
「なぁ。俺達もいい歳だ。同世代では、皆子まで成している」
「そ、それを言うな!」
「ほら。そこの野良実装を見てみろ。あんな糞蟲でも、子を成しているんだぜ」
「言うな!言うな!」
「もうそろそろ、俺達も30歳近い。実装石って歳じゃ・・(ばこっ!)」
「」野は、「」村の頬を殴っていた。
目には涙。
激昂しているのか夕日のせいなのか、「」野の耳は真っ赤になっていた。
「俺達の原点を忘れたのか!「」村!」
「・・・原点!?」
「ああ。ミドリだ。ミドリを忘れたんじゃあるまいな!」
「ミドリ」という名を聞き、「」村の肩は震えていた。
「」野も震えていた。
二人は、日が暮れても公園で震え続けていた。
  第1章 「トウモロコシ畑」
アメリカ テキサス州。
ここで農家を営むウェスビー=カールトンは、トウモロコシ畑を荒らす
実装石に悩んでいた。収穫のほんの少しだが毎年食い荒らす実装石一家がいる。
ウェスビーは、専門業者に実装石駆除を依頼しようと思っている。
「そろそろ実りの秋デス。おまえ達!お腹一杯トウモロコシを食べるデスー!」
「「「「テチー!」」」」
この実装石は、この広大な300ヘクタールのトウモロコシ畑に生息している
実装石の一家に主だった。
見渡す限り生息する黄金の茎と葉。
この密集したトウモロコシ畑は外的から身を守り、かつ豊富な食料をこの実装一家
にもたらしてくれた。
安全かつ食料も困らない。
すなわち、子も間引く必要はない。
カワイイ子を間引かなくて済むなど、この実装石にとっては夢のような生活だった。
「おまえタチ。ついてくるデス!」
母親実装の後ろについていくのは30匹近い仔実装たち。
中実装は親指実装を。仔実装は蛆実装を抱き、テッチテッチと鼻歌を歌いながら
金色の森を掻き分けて進む。
トウモロコシの幹が揺れるたびに、トウモロコシの花粉が親子に降り注ぐ。
「イヤンデスゥ♪ 悪戯な花粉デスゥ♪」
母親実装は、スカートをまくしあげ、両手で下着を前にずらして、その黄金の花粉を
自らの下着に招き入れる。テチーテチーと後ろの中実装もそれに倣う。
「デスン〜♪ 妊娠しちゃうデス〜♪ 妊娠しちゃうデス〜♪」
花粉を招き入れた下着の中に手を突っ込み、たっぷりと濡れた緑の下着の中を
かき回す親実装石。
「テチー! なんか気持ちいいテチー! とてつもなく気持ちいいテチー!」
「デ!おまえたちは、まだ早いデス!」
青い性に目覚めつつある長女をいさめる母実装。
しかし、抗い難い性の衝動をどうして抑えることができようか。
「デス!やめるデス!」
パシンッ!
親実装は、仔実装の頬を撃った。
「テチャ… 何するテチ! ママ痛いテチ!」
「おまえのような淫乱娘は、私の子じゃないデス」
「いやテチ! ワタチはママの子テチィ!!」
「いや。違うデス! おまえは橋の下で拾った子デス! 私の子じゃないデス!」
「テテャァァァァァ!!! テェェェェン!!テェェエエン!!」
母親実装は、泣き叫ぶ子の顔めがけて、唾を吐きかけた。
「売女の娘は、やっぱり売女デスゥ。ビッチ! ゴーホームデスゥ!」
「テプププ。ビッチテチュ」
「おまえの母ちゃん、ビッチテチュ?」
実の姉を嘲け笑う仔実装たち。
あまりの羞恥にその仔実装は、その一団をはずれ、トウモロコシ畑の中を駆け出した。
「ま、待つデスー!」
一瞬の気の迷いの発言を悔いたのか、母親実装が飛び出す子の手を握った。
「テェア! マ、ママァ!」
「忘れ物デスゥ! かーぺっ!」
実の母親、姉妹から、痰や唾液のお見舞いを受けた仔実装は、テェァァァァァ!!と
叫びながら、トウモロコシ畑の奥へと消えていった。
「(許すデス・・・ ママを許すデス・・・)」
母親実装は、トウモロコシの幹が潰れん限りに握っていた。
あの仔実装の目。緑の両目になっていたのだ。
初潮を迎えたあの子の血を舐めたのは、ほんの数日前。
子を成すことができる仔実装は、独立せねばならぬのが、実装世界のルールだった。
この群れから追い出した仔実装は、これで5匹目だ。
生きていれば、また会えるだろう。
それを楽しみに、母実装は、子作りに専念する。
「ママ。手から血が出ているテチ」
握りつぶした幹の茎が、母親実装の手を傷つけていた。
「大丈夫デス。心配してくれてありがとうデス」
そう言って、子の頭を撫でてやる。
「テチュ〜ン♪ 気持ちイイテチィ〜♪ もっと撫で撫でしてテチィ〜♪」
「ワタチもして欲しいテチ!」
「ワタチも!」
「ワタチも!」
「はいはい。一人ずつ並ぶデス」
撫でるたびに、母親の赤い血が仔実装の左目に入っていく。
「チュア! お腹・・・変な感じテチィ?」
「何か動いているテチィ?」
苦しむ仔実装たち。
それを見つめる母実装は、背中に冷や水を浴びせられたかのような
感覚にとらわれた。