注)このスクは、英単語の知識をスクを読みながら取り入れようという試験的な試みです。
英語学習に興味のない方には、退屈な内容かもしれない事、ご了承ください。
『実装石タンゴ2』
俺の名前は双葉としあき。3浪の瀬戸際に立たされた浪人生だ。
俺は英語がどうも苦手で、これを克服せねば、受験合格などありえないのだが、
あんな鬼畜欧英の輩の言語など、どうも学ぶ気になれぬのだ。
そんな俺に実家から遣わされた実装石がいる。名はタンゴ。
何を隠そう生意気な事に、こいつは帰国子女のバイリンガル高級実装石。
実家の両親からは、このタンゴに英語を学び、受験を克服せよとのきついお達しなのだ。
「ご主人様ァ〜♪ 今日も英単語の勉強するデスゥ〜♪」
俺は腹を掻きながら、屁をこき、鼻糞をほじくりながら、生返事をする。
「ご主人様ッ!! そんなことでは、目標を【achieve】できないデスゥ!!」
「なんだ、そりゃ。アチーブ?」
「そうデス。【成し遂げる、目標を達する】という意味があるデス」
「へー」(鼻をほじほじ)
「デスデェースッ!! 驚きがないデス!! 感動がないデス!! そんなことじゃ、英単語一つ覚えられないデス!!」
「つーてもなぁ…」
【When you pass the exam, you really feel you’ve achieved the goal.】
「なんじゃ、そりゃ」
「【試験に合格すれば、目標を達したと実感するデス】、という意味デス。今のご主人様に必要な言葉デス!!」
「へー」(耳をほじほじ)
「まったく親の顔が見て見たいデス」
両親から派遣されたはずのタンゴが、俺のやる気のなさに絶望してか、天を仰ぐ。
「………類似語行くデス。【accomplish】は知ってるデス?」
「お。それなら知ってるぞ。同じ「達成する」って意味だ」
「大違いデスッ!! この売女の息子ッ!!」
「誰が、サノバビッチだ!!」
「ちなみにスペルは【son of a bitch】デス。【bitch】は【雌犬】という意味デスが、
総じて【尻軽女】という意味デス」
余分な知識が増えて行くのは気のせいか。
「では本題に移るデス。achieveもaccomplishも「達成する」という意味デスが、ニュアンスが異なるデス」
「ふむ」
「accomplishは、【ある目的を「完了した」という単純な経過】を現す意味デスが、
achieveは、【ある目的を「とても苦労して、完了した」という困難さを暗に付与する】動詞になるデス」
「つまり、ホームレスの先輩方がポリバケツの生ゴミを漁ってマイクに向って一言」
「ふ〜、accomplishしたデス」
「野良実装が、ポリバケツの生ゴミを漁ってマイクに向って一言」
「ふ〜、achieveしたデス」
ふむ、なるほど。比喩が正確かどうかは別として、今までの予備校では、ただachieveも
accomplishも機械的に「達成する」と覚えていただだけだが、こういった違いがあるとは驚きである。
「TOEICや大学受験では必須単語デス。この違いをしっかり押えておくデス」
タンゴは次いで、お決まりの如く、糞をひり出して、それを指につける。
「achieveは派生語は少ないので、アホのご主人様は大助かりデス」
そう言って、ふすまに糞文字を描き始める。
「接尾語は、『ent』:【性質、状態を意味する形容詞化、行為者を意味する名詞化】
 achieve ⇒ 【achievement】 【達成、偉業】
と、変化するデス」
「ふむ」
「先ほど説明したaccomplishも、接尾語『ent』で、【accomplishment】 【成就、業績】という意味になるデス」
「え〜と、ニュアンスがそれぞれ違うから、achievementの方が苦労して達成したって感じか」
「その通りデス。【学力テスト】は英語で、【achievement test】って言うデス。
これが、【accomplishment test】だと、簡単に達成できるニュアンスのテストになってしまうデス」
「じゃぁ、achievementの方が、苦労していて有り難味がありそうだな」
「こいつ… 救えない知障デスゥ…」
何か信じられない物を見たという顔で、タンゴは哀しそうな目で俺を汚物のように見る。
「苦労が美徳と信じ込む糞日本人のような思想デス。
欧米では、accomplishmentの方がクールデス。実装ナイズされているデス」
突込みどころ満載だが、俺はぐっと堪えてタンゴの話を聞く。
「I’m an elegant, accomplished jissou.」
「んだよ、それ」
「難なく達成するというニュアンスから、【accomplished】で【熟練の、堪能で】という意味になって、
accomplishは、総合してクールなイメージなんデス」
タンゴはそう言い、スカートの裾を両手で持ちながら、クルクルと回転しはじめる。
「今の例文の意味は、私はエレガントデスゥ〜♪ 何でもできるクールな実装石デスゥ♪」
そして、タンゴはそうデププと笑い、俺の顔に唾を吐きかけた。
「………タンゴ。言いたい事はそれだけか…」
「デデッ!? ご主人様、怒っているデスゥ?」
「いやいや。accomplishedなタンゴさんには、到底かなわないゲスよ。俺みたいな
3流のチンピラは精々頑張って、achieveできるように日々精進させていただきますよ」
「やっぱり怒ってるデスゥッ!!」
俺はそう言って、実装叩きを取り出し、暴れるタンゴを頭巾を手に取り、タンゴを引き摺りながら、
風呂場へと入った。
風呂場からタンゴの悲鳴が聞える。
不遜なタンゴを懲らしめる事ぐらい、朝飯前である。
 Mission accomplished! 
俺こと「双葉としあき」22歳 3浪の浪人生。
現在、3度目の正直を目指して、日々学業を推進中だ。
果たして、俺は見事、大学受験を合格することができるのだろうか。
【本日、覚えた英単語】
achieve
accomplish
son of a bitch
bitch
achievement
accomplishment
accomplished
◇受験日まで、あと177日